蛇口からお茶が出るってホント!?全国初の“お茶愛飲条例”で広がる、子どもたちの新習慣とは
静岡県といえば、全国屈指のお茶の県。県内各地に産地が拡大し、茶園で摘まれたお茶の新芽を茶工場で加工した荒茶の生産量は全国第一位。仕上茶の出荷額も全国第一位。そして、1世帯あたりの緑茶購入額は全国平均の約2倍で、こちらも全国第一位!老若男女問わず、静岡県民はとにかくお茶を飲みまくっているらしい。
その真相を探るべく訪れたのは、静岡県経済産業部農業局「お茶振興課」の齋藤武範(たけのり)さん。「お茶振興課」がある点ですでに静岡県らしさ満載ですが、実際にお茶振興課ではどんな取り組みをしているのでしょう。県庁の会議室でお茶を飲みながら、話を伺いました。
静岡県では2016年12月に、小中学生がさらにお茶を好きになってもらえるようにと全国初の条例を制定しています。その名も「小中学校の児童生徒の静岡茶の愛飲の促進に関する条例」。齋藤さんは条例に込めた思いを次のように話します。
「子どものころから学校で静岡茶を飲むことで、地元への愛着をより持てるようになってほしい。そして、お茶を飲む習慣を心身の健康につなげてほしいと思っています。子どものころに、『食事のときや一息つくときにはお茶がなくちゃ』という習慣ができれば、その後もずっとお茶が好きになってくれるでしょう。その取り組みを地道に進めることで、ゆくゆくは、県民の習慣によって、静岡県の産業を支えるというサイクルをより強くしていきたいんです」
2016年には県内の約36%の小中学校(806校中287校)で、給食時などにお茶が提供されていたのが、条例ができてから2019年度には約81%(801校中649校)で静岡茶が提供される予定とのこと。県内各地の小中学校でやかんに入ったお茶をマイコップに注いだり、水筒にティーバックや粉末茶を入れたりと、お茶を飲む子どもたちが増えているといいます。
また、「富士市にある14校の小学校では、条例が制定されたのを機に「給茶機」を設置しています。ボタンを押せばお茶が出る、お茶好きにはたまらない設備!喉が渇けば、いつでもコップでお茶を飲むことができるんです。ほかにも、松崎町の中学校では、地元のJAから購入したティーバックを使いウォータージャグを廊下に設置。夏限定の取り組みですが、子どもたちにはかなり好評だそうですよ」
ほかにも、学校で静岡茶の歴史を学ぶ授業を設けたり、「お茶の淹れ方体験」をしたりと食育にも力を入れています。お茶には虫歯や食中毒の予防、頭がスッキリするなど様々な効果があり、ミネラルも豊富に含まれているということです。
2019年には県内小中学校全校にお茶のティーバックやその地域の粉末茶の提供を目指す静岡県。
「食事とともにお茶を飲む習慣を広げたい。静岡に生まれ育ったから、もっとお茶のことを知って好きになってほしいんです」
お茶愛に溢れた齋藤さんの話に、静岡茶の明るい未来を感じました。