“余白”の時間を満たすマステ専門店「ヨハク社」。人が集い、新しいスタイルが生まれている。
マスキングテープを貼ると、味気ない日用品もキラリ。一瞬にしてランクアップ。価格が手頃な上、工夫次第で無限に楽しめるとあって、マスキングテープにハマる“マステ女子”が増えています。全国からマステ女子が集う島田市の専門店「ヨハク社」を訪ねました。
広々とした店内には、テーブルや壁付きの棚、本棚などを使い、マスキングテープ(略してマステ)が楽しげに飾られています。マステをコラージュした壁画や、カラフルに彩られた“マステカーテン”もかわいい!大池祥子オーナーの、マステ愛とおもてなしの心が感じられます。
大池さんとマステとの出合いは今から11年ほど前。世の中にマステが出始めた頃でした。当時、東京で暮らしていた大池さんは部屋の壁をコラージュしたり、集めたりしたそう。その後、縁あって故郷の島田市を活性化するNPO法人で働くことに。空き店舗を活用しようと、ひらめきで始めた“世界一ちいさなマスキングテープ店”が、開店への一歩となりました。
まちづくりの仕事を通じて、島田市には2代目、3代目が受け継ぐ専門店が多く、後継者たちがそれぞれにルーツを受け入れて自分らしく展開していることに自身のルーツが重なり、2017年に「ヨハク社」をオープン。地元に愛され続けた、祖父と父の店舗跡地で、地域に新しい風をもたらしています。
オープン当初から変わらないのは、「マステと名が付くものはすべて揃えたい」という思い。約8,000種類以上のマステは、良質の国産品を中心に、透け感が人気の輸入品も、すべて大池さんがセレクトしています。季節を感じるマステも多く、「ちょっとしたお礼のラッピングも季節感を出すと素敵だから」と、季節ごとに訪れるお客様も多いそう。人気キャラクター、ファッションブランド…、今年はスポーツ系の柄も続々。常にフレッシュなアイテムがお目見えしています。
ミシン目が入っているマステ、付箋のように小さく持てるマステ、書き込めるマステなどの進化系タイプもあり、ポテンシャルの高さを感じずにはいられません。
「さすがは専門店!」と思ったのは、作家ものが充実していること。地元や東京の作家ものをはじめ、作家とのコラボ、廃番の超レアものも。最近のおすすめは、人気作家・大原そうさんのマステ。大原さんからのオファーで商品化され、大原さんのイベントかヨハク社でしか買えないそうです。リクエストされたものは、必死で探すという大池さん。その丁寧な対応が評判を呼び、遠方から足を運ぶ熱烈なファンも多いようです。
フロアの奥に、雑貨コーナーを発見!アクセサリーや布小物など、ハンドメイド作家による「レンタルボックス」でした。「ここが初めての出店」という主婦作家なども多く、新たなチャレンジの場になれるよう応援しているのだそう。今では約40人が出店しています。
「レンタルボックス」の一員、夏印(なついん)さんは、市内外でワークショップを開く消しゴムはんこの人気作家。「育児をしながら、あったらいいなと思うものをよく作ります」。代表作の『母見たよ』は、子どもの連絡帳にポンと押すだけで一目瞭然。子育てママさんから大人気です。ちなみに、値札や装飾にマステを活用しています。
実は、夏印さんは自他ともに認めるマステ女子。「祥子ちゃんには『来るたびに買わなくていいよ』と言われますが、新しいのを見つけると欲しくなっちゃって」と、マステ帳やマステボードを披露してくれました。ポップなチョイスから、明るい人柄が伝わってきます。よく見ると落ち着いた古典柄も。内なる奥ゆかしさも垣間見られました。
夏印さんにとってヨハク社は特別な場所。唯一作品を販売できる店であり、心のよりどころでもあるそう。悩んだり、イライラした時も、来れば気持ちが晴れるのだと言います。
「“余白(ヨハク)”の時間を楽しんでもらいたい」という思いが込められた「ヨハク社」。子どもを預けたママさん、近所の子どもたち、遠方の人など、様々な目的で集います。なかなか来店できないという人のために、文具女子の島田在住インスタグラマーがバイヤーとなり、共同購入するという新しい購入方法も展開されているそう。「こうあるべき」という概念を超え、新しいスタイルが生まれ、広がっています。
マスキングテープ専門店
ヨハク社
島田市稲荷2-8-8
0547-39-7450
水〜金曜11:00~17:00 土曜12:00~17:00
※不定休のため営業日はインスタグラムにてご確認ください。
https://www.instagram.com/yohaku_sha/
https://yohakusha.official.ec/