『ハレノヒサイクル』で三島のまちの新たな魅力に出会う
間近に雄大な姿を見せる富士山。その雪解け水を源流とする源兵衛川。豊かな自然に恵まれた三島市には、たくさんの見どころがあります。そんな三島のまちを存分に堪能できるシェアサイクルサービスがあると聞き、早速利用してみました。
三島駅で降りて目指したのは北口のロータリー。少し歩くと黄色のワイヤーで自転車をかたどったかわいい看板を発見! シェアサイクルサービス『ハレノヒサイクル』の駐輪場『ハレノヒステーション』です。
『ハレノヒサイクル』は2018年にスタート。現在では、三島・沼津エリアを中心に38カ所に『ハレノヒステーション』を設置し、計88台の自転車が稼働しています。
『ハレノヒステーション』には、白いボディに黄色のカゴをつけたおしゃれな電動アシスト自転車が並んでいます。事前に登録しておいたスマートフォンのアプリを確認。予約番号に該当する自転車を探して、ハンドルに付いた操作パネルで暗証番号を入力します。すると鍵が開錠されてすぐに乗れる状態に。
アプリは無料登録できますし、使い方もいたって簡単。24時間いつでも利用できるうえ、『ハレノヒステーション』の場所を検索できるので、乗りたいところから乗ることができ、返したいところに返せます。また、1つのアカウントで複数台予約できるので、カップルや友達と利用することも可能です。
それでは出発! まずは南口の白滝公園を目指します。白滝公園は園内から豊富な湧水が湧き出している三島らしいスポット。優しいせせらぎの音に心が癒されます。そして、公園を源流とする桜川に沿ってサイクリング!
心地よい風を感じながら自転車を走らせ、時折、道端に自転車を停めて美しい水面を眺めます。ゆったりと浮かぶ水鳥や清流の中に漂う水草など、自動車でドライブしていたのでは気づかない光景に出会えるのも自転車ならではの魅力です。
そのまま桜川をたどれば三嶋大社に到着。もう少し足を伸ばせば、柿田川公園までも自転車で気軽に行けてしまいます。
ひとしきりサイクリングを楽しんで、『ハレノヒステーション』に自転車を返却。利用料は15分あたり100円、12時間あたり1500円とリーズナブル。そのため、観光客だけでなく、地元の人たちの日常の足としても活用されているそう。実際、サイクリング中に『ハレノヒサイクル』の自転車に乗ったスーツ姿のビジネスマンともすれ違いました。
そんな『ハレノヒサイクル』を発案、運営しているのが、三島市にある加和太建設です。建設会社がなぜシェアサイクルサービスを始めたのか? オフィスを訪ねて理由を聞きました。
お話をうかがったのは、加和太建設でPRを担当している和田巧さん。『ハレノヒサイクル』をはじめとした『ハレノヒプロジェクト』の立ち上げに関わり、現在まで運営全般に携わってきました。
「“建設会社がなんで?”とよく聞かれますが、私たちは『三島市を世界が注目する元気なまちにしたい』という夢を本気で叶えようとしています。そのために、建設業を“まちを元気にする産業”として再定義し、従来の枠にとらわれない取り組みに全力で挑戦していくことに決めました。そこで立ち上げたのが、“自分のまちのことに気づき、自ら何かをしたいと思うためのきっかけづくり”としての『ハレノヒプロジェクト』でした。最初に取り掛かったのが、フリーペーパー『ハレノヒマガジン』の発行です。現在、三島のまちでも若い人たちの地元離れが進んでいます。そんな中、三島にはこんな場所があって、こんな人が住んでいて、こんなに素晴らしいまちなんだということを彼らに伝えて、もう一度、地元の魅力を知ってもらいたいという思いがありました」
『ハレノヒマガジン』は3ヶ月に1回発行されており、これまでに10号が配布されています。三嶋大社や三島の伝統芸能、農産物など、様々な切り口でおしゃれにわかりやすく三島の魅力を伝えています。
続いて取り組んだのが、『ハレノヒサイクル』の運営です。
「『ハレノヒマガジン』を通して知った素敵な場所に直接足を運んでもらうべく『ハレノヒサイクル』をスタートしました。三島の色々な場所をつなぐインフラとして機能させたいという意図もあります。公共施設や土地の所有者に私たちの思いを伝えてステーションを設置させてもらうことから始め、徐々にエリアを広げていきました。スタートから3年経って少しずつ認知度も高まり、現在では月に600人ほどの方にご利用いただいています。街中で『ハレノヒサイクル』の自転車で走っている人の姿を見るとやっぱりうれしい気持ちになりますね」
『ハレノヒプロジェクト』では、三島のものづくりや食に触れてもらうべく『ハレノヒマルシェ』も開催。多くの人が集まりました。※コロナ禍の影響により次回開催は未定。
加和太建設では、他にも建設会社の枠を超えた様々な試みを行なっています。富士宮市では長く使われていなかった古い料理旅館を再生してゲストハウスを運営したり、クラフトビール工場を併設したブルワリーレストランを展開するなど地域の魅力をさらに高める取り組みも。
また、昨年は、廃園になった幼稚園をリノベーションしたコミュニティスペース『みしま未来研究所』がオープン。NPO法人と連携して、改修工事を担当しました。
「建設会社らしからぬことに挑戦していますが、建設会社ならではの機動力を発揮できるという強みもあります。これからも、『三島市を世界が注目する元気なまちにしたい』という夢に向かって、地域に貢献していきたいと思っています」
地元愛にあふれた『ハレノヒサイクル』の自転車にまたがって走ってみれば、今まで気づかなかったまちの風景が見えてくるかもしれません。
ハレノヒサイクル
https://harenohi.hellocycling.jp