卒業後は地元に戻ると当たり前のように思っていた。
〇伊藤 誠さん(31歳)
静岡県浜松市出身。島田市在住。県内の高校から秋田の大学へ進学し、応用化学を学ぶ。卒業後、2011年にサカイ産業株式会社へ入社。現在、複合材事業部営業課に配属。
〇サカイ産業株式会社
1918年の創業。ガラス繊維、カーボン繊維を中心とした新素材の製織技術をいち早く確立し、近年は先端複合材料(Advanced Composite Materials)の開発、製品化に力を注いでいる。航空・宇宙分野から医療、スポーツ・レジャーまで、技術革新を陰で支える産業用繊維資材のパイオニア企業だ。
地元に戻ることになんの迷いもなかった。静岡が好きなんですかね。
県内の高校を卒業後、秋田大学で応用化学を学んだ伊藤さん。「就職は地元の静岡で」。秋田や東京という選択肢もある中で、静岡に戻ることになんの迷いもなかった。
その理由について尋ねると「あまり深く考えたことはありません。当たり前のように思っていましたから。静岡が好きなんですかね」と笑顔で話す。たまに都会で働く先輩や仲間と会うこともあるが、「みんな少し疲れている気がします。静岡に戻ってくると、自然に恵まれたこの風景に癒やされると言っていました」。
サカイ産業との出合いは、県内で開催された合同企業説明会。入社の決め手となったのは、会社の雰囲気だった。
「いろんな企業を見て回った中で、当社がいちばん元気のある会社だと感じました。また、コンポジット(複合材料)のメーカーであることから、大学で勉強した応用化学の知識を生かせると思いました」。
会社のモットーである『お客さま第一主義』を判断軸に
サカイ産業には大きく分けて、産業用繊維資材の製織部門と、繊維強化プラスチック(FRP)の複合材部門がある。伊藤さんは最近まで複合材を扱う事業部で営業として活躍していたが、現在は、特注の建築部材を製造する工場で、プロジェクトリーダーとして生産管理と生産業務を担っている。
「当社が供給しているのは、学校や病院など公的な建物に使用する建築部材です。目に見えない商材ですが、耐震補強などとても重要な役割を果たしています。どうしたら生産効率や売上がアップするか、結果を出すために創意工夫しながら取り組んでいます」
働く上で大切にしていることは、会社のモットーである『お客さま第一主義』。
「お客さま第一主義を判断軸に、ひとつひとつの作業を行うように心がけています。お客さまの要望に応えるにはどうしたらいいか。最善の方法を導き出すのが僕の役割です」。
材料の調達から完成に至るまで、すべての工程を自分で考えてつくれる。
サカイ産業の仕事の多くは、一品一様のものづくり。日本屈指の大手メーカーと直接やり取りする機会も多い。
「材料の調達から完成に至るまでのすべての工程を、自分で考え、自分の手でつくれるので、ものづくりの醍醐味を存分に味わえます」と仕事のやりがいを語る。
「職場は和気あいあいとしてアットホームな雰囲気です。納期が差し迫ったときなど、一声かけるとみんな集まり、お祭りのときのような団結力が生まれるんです」。チームで協力し合って課題をクリアできたときの達成感も、やりがいにつながっているようだ。
「将来の目標は『サカイ産業といえばこれを作っている会社だよね』と言ってもらえるような商材を生み出すこと。そのためにも、今の仕事できちんと成果を出して、キャリアアップしていきたい」と意気込みを語った。
仕事もプライベートも充実させることができる恵まれた環境
「静岡で働く魅力は、仕事もプライベートも充実させることができる恵まれた環境」だという。
「海も山もあって自然が豊富なこと。東京と大阪の中間に位置し、交通アクセスが便利なこと。こうした環境のおかげで、オンもオフも充実させることができます。何より自分が生まれ育った故郷は愛着があるし、不思議と心が落ち着きます。年に数回は実家に顔を出すようにしています。静岡に戻ってきたこと、両親も喜んでくれていると思います」
休日の楽しみは、愛犬と散歩に行くこと。「近くに川や広場があり、散歩の場所には困らないので助かります。都会ではなかなかそうはいきませんからね」と笑顔で語った。