Uターン就職で実現した心の安定と仕事へのやりがい
〇秋山和伽奈さん
浜松市出身。首都圏の大学を卒業後、2017年に三立製菓株式会社に入社。現在商品の新提案・広報等を手掛ける企画開発部に所属し、パッケージデザイン立案や通信販売事業等を担当している。
〇三立製菓株式会社
本社は静岡県浜松市。1921年の創立以来、パイ、クッキー、パン、カンパン、チョコレート加工品等を企画・製造・販売。カンパンや源氏パイなど数々の看板商品を誕生させ、それぞれが息の長い人気を誇る。社名の「三立」には、創立者である松島保平氏の「消費者、販売者、製造者」、「従業員、株主、経営者」の三者が安定した形で成り立つようにという思いが込められている。
◆首都圏に負けない魅力ある静岡県の企業に注目
浜松市で生まれ育ち、首都圏の大学で食品・栄養学を学んだ秋山さん。「これまで学んだ食品に関連した仕事をしたい」と就職活動をスタートした際、最初は都心の会社も含め情報を集めていたという。
しかし「本格的に企業を調べていくと、生まれ育った静岡県にも首都圏の会社に負けない魅力的な会社がたくさんあることに気付きました。そして自分自身が幼い頃から食べ親しんできた”源氏パイ”が故郷浜松のお菓子で、熱い想いを込めて作り上げられていることを実感。こんな身近なところに大好きなお菓子を作る企業がある!」そんな親近感にも後押しされ、地元浜松市へのUターン就職を決めた。
◆伝統ある企業の柔軟な社風に納得
創立100年に近づく歴史ある三立製菓。「伝統のある会社なので堅い雰囲気ではないかと思っていましたが、入社してみると、上司や先輩も優しくそれでいて個性的な発想を持つ方が多くてびっくり」。実際、人気商品のキャラクターお姉さんに扮してテレビ、ラジオ、イベント等に出演しPR活動に活躍する先輩も。「社内は自由度が高く、自分の考えたことをやってみたら、とチャレンジさせてもらえるのでやりがいを感じています。自分が関わらせてもらった商品が店に並んでいるのを見ると感激ですね」。
とはいえ、企画開発課に配属されて間もない秋山さん。「まだまだ覚えることばかりで、自分のアイデアと胸を張れることはできていません。だから新しい発想を次々展開していく先輩方に憧れます。私も早く先輩たちのようになりたいと思います」と夢を膨らませる。
◆首都圏を違った角度から見つめられるメリット
浜松に戻り就職したからといっても、決して首都圏が遠のいているわけではない。「時には情報のインプットに新幹線で東京へ出掛けることもあります。友人に会うことも目的ですが、百貨店の食料品売り場でどんなものが流行しているのか、アンテナを張ってトレンドをチェックするように心掛けています。浜松は東京だけでなく大阪方面にも2時間程で行けるのが魅力。静岡空港もあるので、全国、世界各地へもアクセスしやすいのが自慢ですね」。
今や地方から全国・世界へと情報発信できる時代、静岡県はある意味首都圏を俯瞰でリサーチできる良い距離感が保たれている地域。秋山さんも都会での大学生活を経て、故郷からまた違った角度で情報収集ができているようだ。
◆マイカーでの駅前通勤が実現!
現在秋山さんは自宅から会社へマイカー通勤。オフィスは浜松駅前のアクトタワーにも歩いて行ける場所にある。「こうした街中のオフィスに車で通勤できる幸せを噛み締めています。東京ではマイカー通勤なんて考えられないこと。浜松に帰ってきて暮らしやすさをつくづく実感しています。もし東京で働いていたら毎日満員電車に揺られてへとへとになっていたかもしれません(笑)」。
仕事のあと買い物に行ったり、休日にはいろんな場所へドライブに行ったり、自分の車であちらこちらへ足を伸ばしリフレッシュできる浜松ライフを満喫しているという。
◆家族と過ごすかけがえのない時間
そして秋山さんにとって何より心の安定剤になっているが、家族と過ごす時間。帰宅すると母と一緒に夕食の準備をしてその日の出来事を話す。
「母の料理が何より好きなんです(笑)、食べてホッとできるからまた次の意欲が湧いてきます。家族がいてくれるからこそ自分が穏やかに過ごすことができて、仕事に打ち込むことができます。大学時代に独り暮らしをしたからこそ、家族と過ごす大切さを実感。本当に浜松に帰ってきて良かったです。祖母も一緒に暮らしているので、三世代で食の話をするのが楽しくて。三立製菓に入社できたのも、三世代で当社のお菓子に親しんでいたことが大きく影響したと思います」。
◆浜松の地の利を仕事に活かす
また秋山さんは「浜松ならではの特徴をこれからの自分の仕事に活かしていきたい」とも話す。「浜松は海の幸や山の幸の食材が豊富です。こうしたさまざまな食材を商品開発に展開させていくこともできるかもしれません。また当社のカンパンは、防災に力をいれる静岡県では保存食としても注目を集める商品です。品質の良さはもちろん、食べ方の新たなアレンジ方法を考えるなど、私ならではの発想を膨らめていけたらと思っています」。
家族と過ごすから気持ちが安定する。故郷だからこそ幼い頃から親しんだ魅力を見極められる。自分の心が穏やかに保たれているからこそ仕事の意欲に繋がっていく。秋山さんの発する一言一言に、充実した日々を過ごしていることが感じられる。
「浜松から世界へ」と進化を続ける同社で、入社3年目の彼女は輝いている。