住み慣れた静岡だから、安心して介護の仕事を続けられます。
○石本麻衣さん
静岡県島田市出身。静岡県内の大学を卒業後、2013年アサヒサンクリーン株式会社に入社。現在は掛川事業所の所長として、訪問入浴サービスの現場だけでなくスタッフのシフト作成などの管理業務にも携わる。
〇アサヒサンクリーン株式会社 静岡支店
1973年、寝たきり高齢者の寝具丸洗い乾燥消毒衛生加工業として創業。1977年から巡回入浴サービスを開始。2007年静岡支店開設。全国に拠点を持ち、自力での入浴が困難な要介護高齢者や、家族のサポートだけでは入浴が難しい家庭に訪問入浴サービスを届けている。
◆長く働きたい。そんな思いで選んだ介護の仕事
大学で心理学を学んでいたという石本さん。学生時代も就職活動中も、介護の仕事に就くことは考えていなかった。
「職種で選ぶというよりは、せっかく大学を出たので、長く働ける仕事に就きたいと思っていました」
合同企業説明会などに足を運んでみたものの、自分自身が思い描いていた「長く働ける条件」に合う仕事にはなかなか巡り合えなかったと、石本さんは当時を振り返る。
「私にとって、長く働くためには、体にも心にも無理のない働き方ができる仕事がよかったんですが、なかなか難しいかなと感じるところが多くて」
そんな中で足を止めたのがアサヒサンクリーン。介護職ではあるが、日曜日が休みで夜勤もない、年末年始は休めるという条件が、石本さんが思い描く理想のライフスタイルに合っていた。
「説明してくれた人事の人もとても親切でした。介護の仕事は考えていませんでしたが、ここなら長く働いていけそう、と感じました」
◆介護職未経験でも安心の研修と働き方
訪問入浴サービスの先駆けとして全国に事業を展開するアサヒサンクリーン。介護の知識や資格を持たない石本さんだったが、入社後の研修や、その後の現場での働き方も、不安を解消できるものだったと話す。
「誰がどこで行っても同じサービスを提供できるよう、入社してから1カ月、3カ月、6カ月と段階を踏んで研修を行います。現場に出るようになったら、先輩スタッフに教えていただきます」
担当のケアマネジャーを通じて依頼のあった家庭を訪問し、居室まで浴槽を運ぶ。1回の訪問入浴にかかる時間は45分。3人1組のチームで訪問するので、一人だけで不安を抱えながら現場に入るということもなかった。
「介護の仕事というと、重労働だったり、なかなか休めなかったりというイメージを持っていましたが、そういう印象とは違うんだと、働いてみていっそう実感しました」
中には「これが最後のお風呂になるかもしれない」という利用者も少なくない。「お風呂に入れてよかった、ありがとう、とご本人もご家族も喜んでくださるんです。そんなとき、こうやって人と関わる仕事でよかった、思います。そういう瞬間を大事にしたいですね」
◆オフを充実させるため全員で協力し合う
入社3年目には在宅介護センター掛川の所長に就任した石本さん。現在11人のスタッフを取りまとめる立場として、シフトを組んだり巡回のコースの調整をしたりといった業務も手掛ける。
石本さんの「オフも大切することで、仕事にも打ち込める」という思いは、スタッフを支える際にも発揮されている。
「中には幼稚園に通う子どもがいるスタッフもいて、なるべくセンターに戻ったらすぐに帰宅できるようなコースに入れるようにしています。お子さんは急に熱を出すこともありますが、そういう時には他のスタッフが快く代わってくれますね」
逆に、子どもがいない人だけにしわ寄せが来ないように、連休を取れるようにシフトを組んだり、スタッフ全員が助け合う雰囲気ができている、と石本さん。石本さん自身も、今年のゴールデンウイークには6連休を取って海外旅行を楽しんだのだそう。
「みんな介護の仕事は初めてという人ばかり。負担にならないよう長く働き続けてほしいし、そのためにも、オフはきちんと取ってほしい。プライベートが充実していなかったら、安心して仕事にも打ち込めないと思うんです」
◆地元にいるからこそ、安心して働ける
地元である静岡県から出たことはないんですが、と前置きした上で、地元で働く理由の一つを、石本さんは次のように話してくれた。
「住み慣れた静岡で仕事をして、休みの日には家族や地元の友だちと会える。リフレッシュした分、気持ちも新たに無理せず自然体で仕事を続けられていると感じています」
そして、そんなふうに安心して仕事ができるのは、スタッフそれぞれと向き合い、助け合える環境づくりを後押しする、アサヒサンクリーンの取り組みがあったから。こうした動きは今後、業界を超えて広がっていくのでは、と石本さんは説明する。
「介護業界の中で、訪問入浴サービスはほんの一部。でも、こうした無理のない働き方を続ける当社の取り組みが、業界全体、社会全体を変えていく力になればいいですね」
できるだけ長く、無理なく働き続けたいと、地元で介護の仕事を選んだ石本さん。これから先の働き方を見据えた前向きなビジョンが印象的だった。