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働く若者紹介

生徒たちに寄り添いながら美術の楽しさを伝えていきたい

○切石藍さん

静岡市出身。教育大学を卒業後、埼玉県の高校、大阪府の中学校で教員を務める。

平成29年、静岡県教員採用試験を受け、今年度、静岡県立藤枝特別支援学校焼津分校に美術教員として赴任。美術部の顧問も務める。

 

○静岡県立藤枝特別支援学校焼津分校

藤枝特別支援学校を本校としており、2013年に静岡県立焼津水産高等学校内に高等部の分校が設置された。軽度の知的障害のある生徒54人が在籍している。『ひびき合い、作り合う中で自立に向けて力強く生きる人を育てる』が学校教育目標。

 

絵を描くことで自己表現の楽しさを知って欲しい

 

机に配られたのは図形が書かれたプリント。そこに生徒たちが好きな形を描き加えて、思い思いの色をのせていきます。この日、行われたのは静岡県立藤枝特別支援学校焼津分校の美術の授業。みんな集中して作品作りに取り組んでいます。生徒の質問に真摯に答えながら指導しているのは、今年、美術教員として赴任したばかりの切石藍先生です。

「この分校には軽度の知的障害がある生徒が在籍しています。国語や数学などの基礎的な科目のほか、働く力を身につけるための自主生産作業や地域作業といった科目を時間割に組み込んでいます。美術の授業は生徒に自己表現することの楽しさを知ってもらうためのものです。社会に出てからも、余暇に絵を描いたりして、リラックスした楽しい時間を過ごして欲しいと思います」

 

母が教員だったこともあり、切石先生は高校生の頃から教員を目指すようになりました。絵を描くことが好きだったため、大学では美術教育について学びました。卒業後は埼玉県の高校で教員生活をスタートします。

「その後、大阪に移住して教員を続けていましたが、生まれ育った静岡で働きたいという思いが強く、静岡県の教員採用試験を受けて、今年4月から現在の分校に赴任することになりました。地元ということもあり、同僚や生徒たちと共通の話題でコミュニケーションをとることができますし、悩んだ時に相談できる家族や友人がいることも静岡を選んだ理由です。埼玉や大阪にいた時は満員電車で通勤していたのでストレスを感じたこともありましたが、今はゆとりを持って通勤できるので仕事に存分にエネルギーを注ぐことができます」

 

生徒たちの個性を尊重することを心がける

 

生徒たちを指導する際にいつも心がけていることがあると切石先生は言います。

「彼らの個性を尊重することを大切にしています。制作中は、見守る姿勢を大切にして、思い思いに表現してもらいます。何か困っていたら、“どうしたの”と問いかけたり、“素敵だね”と伝えたり、生徒たちが安心するような言葉をかけるようにしています。言葉で自分の思いを伝えることが苦手な生徒もいますが、生徒の考えていることを汲み取って寄り添うことを心がけています」

 

切石先生は美術部の顧問も担当しています。放課後に絵の好きな生徒たちが集まり、自分の選んだモチーフをキャンバスに描いていきます。

「生徒たちが楽しみながら絵を描いて、自分を表現している姿を見ると教育に携わって本当に良かったと感じます。部員同士でお互いの描いた作品を評価し合うのも他者理解を深めるための大切な時間です。他の人の作品に感心している様子や、褒められて喜んでいる顔を見ているとこちらも笑顔になってしまいます」

 

生徒たちが描いた作品をコンクールに応募したり、校内や公民館に展示するのも顧問の役割。多くの人に作品を見てもらうことで、生徒の創作意欲も高まります。

 

充実した人生を送るために色々なことに挑戦して欲しい

 

切石先生の趣味は登山。険しい山にもチャレンジします。

「苦労して山頂にたどり着き、美しい景色を目にした時の感動はひとしおです。それを味わいたくてこれまでに色々な山に登りました。静岡県には富士山をはじめたくさんの山がありますし、山梨県や長野県にもアクセスが良いので登山好きにとっては理想的な場所です」

 

そんなエネルギッシュな切石先生は、生徒たちにも色々なことに挑戦して欲しいと語ります。

「やりがいを持って取り組める仕事や、心から楽しめる趣味を見つけるのは人生においてとても大事なことだと思います。そのために様々なことに積極的にチャレンジして欲しいですね。私自身、美術教員というやりがいのある仕事に就くことができました。しかし、まだまだ始まったばかりで特別支援教育について学びを深めているところです。これから経験を重ね、生徒たちに寄り添いながら、より充実した指導ができるようになりたいと思っています」