富士山を眺めながら通勤 公私ともに充実した日々を送る
◯佐野稔文さん
愛知県豊橋市出身。大阪府の大学で機械工学を学び、卒業後、岐阜県の大手メーカーにて生産技術職を務める。その後、結婚を機に子育て環境を考え、妻の実家がある静岡県富士市に移住し、小林製作所に就職。現在は製造機械の設計を手がけている。
◯小林製作所
1947年に創業した製造機械メーカー。製紙産業やフィルム産業に対してオーダーメイドの製造機械を提供している。「塗る」「巻く」「剪る(きる)」といった作業を高い精度で行うことを可能にした独自の製造機械は世界でも高く評価されている。
移住を機にスキルを活かせる会社に転職
取材のために小林製作所へと向かう道すがら、雄大な富士山の姿が見えてきました。富士山は季節や眺める方角によって印象が大きく変わると言われますが、静岡県富士市と名が付く場所だけあって、その美しさは格別です。
「妻と交際中、富士市にある実家を訪ねるたびに、富士山を眺めるのが楽しみでした。富士山を毎日眺めて暮らせる環境に暮らせたらとずっと思っていましたので、結婚を機に転職し、実家に同居するという選択に迷いはありませんでした」
そう話すのは、小林製作所に勤務して5年になる佐野稔文さん。大学で機械工学を学んだ佐野さんは、結婚を決めた時、ちょうど自分のスキルをもっと活かせる仕事に挑戦したいと考えており、移住を前に転職活動を始めました。
「小林製作所で面接をした時、暖かい会社だなと感じたことと、大学で学んだ設計のスキルを活かせることが入社の決め手になりました。毎日、会社の行き帰りの車から富士山を眺められるので通勤時間も楽しく過ごせています」
男性社員として初めて育休を取得
佐野さんが現在担当しているのは、電気自動車などに搭載されるリチウムイオン電池に使用するフィルムの製造機械の設計です。導入する工場の規模に合わせて受注生産を行なっているため、その都度、仕様を変えて設計し直す必要があります。
「学生時代からブランクがあったので最初は少し苦労しましたが、仕事をしながら感覚を取り戻し、新しい技術も身につけました。設計する機械は、大きなものでは40メートルほどのラインになるものもあります。自分が作った図面が形になっていく過程を目の当たりにできるので、とてもやりがいを感じられます」
佐野さんは結婚してすぐに子宝に恵まれ、現在は3人の子どものパパになっています。1人目から間をおかず、すぐに2人目の子どもが生まれ、子どもとの時間を大切にしたいと思った佐野さんは、会社に相談して育休を8か月間取得しました。
「ちょうど男性社員の育休取得制度ができたばかりで、私がその制度を利用した第1号でした。入社して間もないタイミングで不安もありましたが、会社は暖かく受け入れてくれました。また、妻の実家のサポートもあり、充実した子育てができています」
恵まれた環境で子どもたちと過ごす満ち足りた時間
一番上の子どもは3歳になり、家族でお出かけできる機会も増えたという佐野さん。休日になると車で近くの動物園や水族館に子どもたちを連れて行き、楽しい時間を過ごします。
「富士市は海が近いので釣りも気軽に行けますし、少し足を伸ばせば山梨県や長野県に行けるので趣味のスノーボードも楽しめます。子どもたちを本物の自然に触れさせてあげられる環境があるのはありがたいですね。富士市は気候も穏やかで立地的にも便利なのに都会過ぎないのが魅力です。近所の人たちとも子どもを通して交流が生まれるなど、静岡の人の暖かさも感じています。今は富士市に移り住んで本当に良かったと思っています」
そんな静岡県富士市で公私ともに充実した生活を送る佐野さん。今後の子育てについて意識していきたいことがあるそうです。
「子どもと同じ目線で生活していきたいですね。子どもから学ぶこともたくさんありますし、親だからとか子どもだからとかではなくて、同じ立場で親の当たり前を押し付けずに子どもと一緒に成長していきたいです」